お知らせ

お知らせ02_掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる

人間というものの見始であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。

第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶だ。その後猫にもだいぶ逢ったがこんな片輪には一度も出会わした事がない。
のみならず顔の真中があまりに突起している。そうしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙を吹く。どうも咽せぽくて実に弱った。

これが人間の飲む煙草というものである事はようやくこの頃知った。